京都祇園祭の花形!稚児について。長刀鉾での役目は?

稚児2 お祭り

祇園祭は7月の頭から末まで、1ヶ月をかけて行われるお祭りです。

一見して、ずるずると続くように思われるこのお祭りにも、
何度かココゾとばかりに盛り上がるところがあり、

そのうちのひとつが、「稚児」の登場シーンです。

地元の人には、親しみと尊敬をこめて「お稚児さん」と呼ばれる
稚児の存在。

祇園祭の稚児とは一体、どのような役割の人物なのでしょうか?

 

 

祇園祭における、稚児とは?

稚児

稚児は、10歳前後の男児がつとめます。

 

祇園祭の中で見所となる、「長刀鉾(なぎなたぼこ)」の稚児をつとめるのは
たったの一人。

 

ほかには、「綾傘鉾(あやがさほこ)」の巡行時に6名の稚児が同行するなど、
わずかの数しかいないのが、祇園祭の稚児です。

 

過去には稚児は全員が生身の人間でしたが、
現在では、ほとんどが人形と代えられてしまっています。

 

これらの中でも、祇園祭最大の見所、「注連縄切り」を担うのが
たった一人の、長刀鉾の稚児です。

 

よって、祇園祭で稚児といえば、通常この「長刀鉾の稚児」を指すのです。

 

例年、祇園祭の役員周辺、或いは有力な自営業者の家系から、
該当する年頃の男児が選ばれるのが常なのですが、

その詳細については、神事に関することですので、公開されていません。

 

稚児は、祇園祭においては「生き神様」として扱われます。

 

つまり、神の使い、或いは代理になるわけであり、
祇園祭の中では、重要な役割をいくつも果たすことになります。

 

稚児に決まった男児は、古式に則り、
八坂神社から長刀鉾町へと養子に出される形式となります。

 

それから、山鉾巡行の時には先頭にたって
注連縄を切り落とし、

人の世界と神の世界の間にある結界を解き放つのです。

 

 

大忙し! お稚児さんの祇園祭

一般客にとって、祇園祭は7月1日から始まるものですが、
稚児の祇園祭は、6月初頭から既に始まっています。

 

6月8日には、報道陣の前でお披露目となり、
その後、打ち合わせや、京都市長への表敬訪問、

衣装合わせなどを経て、
6月23日には、「結納の儀」が執り行われます。

 

これは、八坂神社の祭神である祇園牛頭天王(素戔嗚尊)を
清めた稚児の家にお招きすると同時に、

稚児を長刀鉾町の養子とする重要な儀式です。

 

7月1日には、「お千度の儀」が行われます。

 

 

稚児には、同年代の「禿(かむろ)」と呼ばれる
二人の少年たちが、補佐につきますが、

稚児と禿が揃って八坂神社に参拝し、
本殿を3度回って、祇園祭の無事を祈ります。

 

 

7月5日には、吉符入の儀において、
「稚児舞」を披露するのが習わしです。

 

 

13日には、「社参の儀」といって、
八坂神社に参拝し、稚児が大名(正五位少将十万石)の位を授かります。

 

 

その後も諸々の役目はありますが、
最大のものが、7月17日の山鉾巡行で行われる
「注連縄切り」

 

 

神界と人界の間にある結界を一刀両断にし、
山鉾が進める道を作るのが、稚児の最大のお仕事です。

 

17日のうちに「お位返しの儀」が行われ、
正五位少将のお位を返上し、禿共々
普通の子どもに戻ってゆくのです。

 

 

平成26年度のお稚児さんは?

前述のとおり、長刀鉾の稚児の決定と報道発表は
6月7日に行われるので、
平成26年度の公式発表が待たれるところです。

 

なお、平成25年度には、
伏見区の同志社小4年白井大督(だいすけ)君(10・当時)が務めたと
発表されています。

 


こうして見ると、わずか10歳前後の子どもには
重すぎるほどの大役ですね。

 

プレッシャーも尋常ではないでしょうし、
稚児を引き受けた時から、家じゅうで祇園祭の準備にかかりきりとなり、
多忙このうえないとも言われており、

 

これらを乗り越えてのお稚児さんの姿に歴史を感じながら、
祇園祭を楽しみたいものです。

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